白内障手術体験記
現職のときに受診した人間ドックの再検査で白内障が進行しているとの指摘を受けて、市内の病院を約1年後に再受診した。診察結果は、手術適応段階に来ているとのこと。確かに霞んで見えるような気がするし、特に夜の運転では、対向車のライトで視界が一瞬失われることもあった。九州自転車一周旅でも路肩に乗り上げて転倒したのは、あながち雨による視界の乱反射だけが原因ではなかったかもしれない。
手術を局所麻酔で、目が見える状態で行うとのこと。怖くなって、「白内障の進行抑制効果がある薬があると聞きましたがどうでしょう。」と質問したが、結局は手術一択との回答だった。確かに後でよくよく調べてみると、主に使われているのは、ピレノキシンまたはグルタチオンという点眼薬で、60歳以上では進行抑制効果が確認できなかったという研究結果があるようだ。

覚悟を決めて手術の段取りを決めたが、下図のとおり術式で行うとのこと。憂鬱である。

手術の約1週間前、診察。手術の準備が始まる。ここで、術後1週間は、頭や顔を洗えないと言われる。目に雑菌が入り、下手すると失明するかもしれないからだ。
手術は水曜日、まずは右目から。日帰りの病院もあるが、金曜日まで入院することに。どちらにしても術後は日帰りでも通院となるし、なにより安心である。ただし、入院に際してはPCR検査が必要であり、2日前の月曜日に実施。陰性だった。「よかった」と言うより「もう逃げられない」という気持ちがわずかに先行した。
火曜日に頭を1週間洗えないので、散髪に行ってバリカンで2mmほどに短くしてもらう。
水曜日、いよいよ手術当日。時間通りに入院窓口に行くが、他の患者さん対応で受付が遅れる。ようやく順番が来て手続き開始、と携帯電話が鳴動。眼科の看護師さんが心配して電話してきたようだ。手術が決まった後、稲川淳二風に「やだなー こわいなー」を連発していたのでバックレたと思われたのかな?

入院手続きが終わり、病棟の看護師さんが迎えに来てくれる。なんと荷物を持ってくれた。高級ホテルなみだ。病室は4人部屋、先客は一人で今日退院とのこと、実質一人部屋である。ほどなく、手術前最後の診察を済ませ、手術する側の目の上に標識が貼られる。12時まですることがない。病室でごろごろする。
お昼ご飯は、あんかけ焼きそば的なもの。この病院では糖尿病ではないが糖尿病外来も受診しているのでおいしさよりもヘルシーさが勝っている。
ご飯が終わると手術に向け慌ただしくなる。点眼薬(抗菌薬と散瞳薬かな?)をさしてもらい、手術着に着替え、抗菌薬の点滴。おじぞうさんの被るような帽子をかぶり車椅子に乗せられ手術室へ。
手術台はリクライニング式の椅子。点滴のラインに加え心電図の電極が取り付けられる。このような状況になると「仮面ライダー本郷猛は改造人間である。」というフレーズが脳内に自動再生される。今回は目だけだが、プチ改造人間になると言えなくもないか。
手術する目だけが開いた布をかぶせられ点眼麻酔をされる。目も動くし視界も変わらない本当に効いているのか不安になる。ゼリー状のものも流し込まれる。
瞬きができないように開瞼器(かいけんき)を入れて手術開始、眩しい光があてられ、視界には筆者の記憶によると下の図のようなものが見える。まずはこれを凝視しなくてはならない。器具が目の中に入っているようだが、幸いにも見えない。時折、下を見てとか目を動かすよう指示される。角膜が切開されて、水晶体囊に穴が開けられているのだろうか、次に低い機械音が聞こえてくる。すると見えていたものが見えなくなる。超音波で水晶体が破砕されたのだろうか。時折眼球が膨らむようないやな感覚に襲われる。「レンズ出します。」の声がして、もとの図が見えてくる。新しい水晶体が入り手術終了である。

手術した目はカップのようなもので保護され、車椅子で病棟へ。しばらくして先生が病室に来てくださり痛むかもしれないので、遠慮無く痛み止めを出してもらうように言われた。
夕食が終わると、思いのほかやることもなく、片目で本を読んだりラジオを聞いたりした。22時消灯。夜間、目が腫れたような感覚が断続的にあり、朝、看護師さんに痛み止めをもらい落ち着く。
朝食を食べて、8時半に診察、目のカップが外される。眼圧が50mmHgまで上昇しているとのこと。すぐに処置台に乗せられ点眼薬で洗浄。眼圧を下げる内服薬が処方される。先生は何も言わなかったが、後遺症としてはままあるようで、手術前に流し込んだゼリー状物質が眼の中の水が流れ出る「線維柱帯」の通りを悪くするのが原因と考えられているらしい。
診察が終わると点眼薬3種類(抗菌剤、ステロイド剤、抗炎症薬)が処方され、さし方のレクチャーを受ける。とにかく、手洗いと接触による雑菌の混入を防ぐのが大事のようだ。
後はごろごろするしかない。食事は、ヘルシー過ぎてあまり楽しみではない。糖尿病で入院することがないよう気をつけなければ…
最終日、結局、初日の午前中以外は4人部屋を一人で使った。右目だけ手術したのでバランスが悪い。診察が終わり10時に退院。
2週間後、左目の手術。過程は右目と同じ。ただし、病室は先客が二名。一人は物静かな老紳士、本をよく読んでおられ次の日、退院された。軽くご挨拶をして、もう一人のほうへ、いきなり結構な大声で「あーきつい。あー眠い。」とベットの上で言っているので、挨拶を拒否されたと思い軽く会釈してカーテンを閉め自分のベットへ。年の頃は70歳から80歳ぐらいだろうか、とにかくうるさい。食後の歯のシーハー音と夜間のうめき声が大きいのはご高齢なので仕方が無いとして、独り言が異常に多く音量もでかい。「腰が痛い」だの「日がたたん(退屈という意味だと思う)」だの、配膳された後「あー飯か、めんどくさいのう。」だの言っていた。看護師さんには普通に対応しているようだが、いなくなると大きな声でぐちを言っている。筆者が退院時にカーテン越しに「お先に失礼します。お大事に。」と声をかけたら「はい」と返事をしてくれたが、しばらく入院していそうなので、次、相部屋になる方はご愁傷様である。
さて、術後の目の状態だが、両目のバランスは改善され、クリアに見えるようになった。しかし、眼鏡の度数が合わなくなったので、視力の安定する二ヶ月後にはレンズの交換が必要とのことである。
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